Jul 14, 2010
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周知の通り、将来の主力電源としてソーラー発電が注目を集めている。
ポテンシャル(開発の余地)は十分。でも発電コストが高く、天候による発電量の変動が弱点だった。しかし条件は急速に改善されつつあり、2013年には売電価格が家庭用の電力消費価格を下回ると予想されている。
【松田雅央の時事日想:メガソーラー時代がやって来る!】
ソーラー発電の今後は「より大型に」「より南に」。開発の主力は照射エネルギー量の多い南へ移り、北アフリカのメガソーラーが欧州の電力を担う日が遠からずやって来そうだ。
●ソーラー発電の価格競争力
太陽電池の市場価格は生産量の拡大とともに値下がりを続け、反対に発電効率は上昇している。結果、ソーラー発電は価格競争力をつけつつあるのだが、実際はどの程度なのだろう。
この時事日想でも何度か取り上げたように、ドイツではソーラー電力の売電価格は再生可能エネルギー法(EEG)により保証され、現在のところ1kWh当たり30円程度に設定されている。売電価格は設備の市場価格の動向を見ながら設置者が10〜15年で投資を回収できるよう政策的に定められているもの。設備(主に太陽電池)の市場価格が下がるのに合わせ、売電価格も値下げ改定されている。
現在のところ、家庭用小型ソーラーの売電価格は家庭用電力消費価格より2割程度高い。そのため自宅でソーラー発電している設置者は、ソーラー電力をすべて売電し、自宅で使う電力は電力会社から普通に買っている。ところがこの価格の上下関係が逆転すると、今度はソーラー電力をまず自宅で使い、余った分だけ売電するようになる。いずれもその方が経済的に得をするからだ。
こうなって初めて「自宅で作ったソーラー電力を自宅で使う」という真にエコな発電が実現する。その意味でこの価格逆転は重要な分岐点であり、ソーラー発電が価格競争力を得た証と言っていい。
●メガソーラー
もし、同じ面積のソーラーパネルを設置するなら、規模が大きいほど面積当たりの建設費は安くなる。例えば戸建住宅100戸に設置するより、それをひとまとめにして工場の屋根などに設置する方が安く作れるという理屈である。建設後の管理費についても同じことが言える。
巨大なソーラー発電所、特に発電出力が1MW(敷地面積約3ha)を超えるものはメガソーラーと呼ばれ、2009年にはドイツ最大、世界でも最大級のメガソーラーがブランデンブルク州に完成した。このリーベローゼ・ソーラーパークが建設されたのは元軍事演習地。整地されてはいるが、他に適当な使い道が見当たらない広大な跡地がよくメガソーラーに利用され、飛行場跡という場合も多い。敷地面積は162ha、モジュール面積は50ha、年間発電量は約1.5万世帯の年間電力使用量に相当し、CO2削減効果は年間3.5万トン。すべてがビッグスケールのソーラー発電所である。なお電力はEEGにのっとった保証価格ですべて売電されている。
リーベローゼ・ソーラーパークを建設したのはJUWIグループとFirst Solar社。両社はソーラー発電施設、風力発電用風車、バイオマス・パワープラントの建設工事と管理を手がけ、さらにこのソーラーパークのように自己資金による建設も行っている。建設・管理会社であると同時に電力事業者でもある。
●将来は北アフリカの砂漠に
費用対効果をさらに追求すると、当然、ドイツではなくもっと日照エネルギーの豊富な地域や国に建設するのが有利となる。ドイツの資金と技術を用いたメガソーラーがすでにスペインで稼働を始めており、将来は地中海を越えた北アフリカで発電し欧州へ送電することになりそうだ。
砂漠のような場所に建てる場合、発電効率と建設費用のバランスから太陽電池よりソーラー熱発電が有望となる。ドイツ政府の援助を受けソーラー・ミレニウム社が統括するスペイン南部のメガソーラープロジェクト「アンダソル 1-3(Andasol1-3)」は2011年中にフル稼働を始める予定だ。
敷地面積は195ha、パラボラミラー面積は100ha、年間発電量は9.6万世帯の年間使用量に相当し、CO2削減効果は年間45万トン。小さな都市の電力需要をまかなう規模である。
パラボラミラーで循環する液体を400度まで加熱し、蓄熱剤(硝酸ナトリウム〈NaNO3 60%〉+硝酸カリウム〈KNO3 40%〉)を満たした蓄熱タンクに熱を貯める(この温度だと蓄熱剤は液体)。この熱を使い蒸気タービンを回して発電し、発電効率は最大で28%、年間平均で15%に達する。
太陽電池を用いるソーラー発電と比較した利点は、第1に建設費が安く、設備の寿命が長いこと。さらに魅力的なのはソーラーエネルギーを熱として蓄えるため、夜間でも発電可能なこと。冬場の発電量は少なくなるが、ソーラー発電の弱点である天候や時間帯による発電量の変動を克服できる。
さらに北アフリカ、モロッコの砂漠ではドイツの出資による初の実験プロジェクトが稼働中だ。ドイツ環境省の予測によれば2050年には欧州の電力の約15%が北アフリカから供給されることになる。そうなれば北アフリカ諸国は電力収入を得、欧州は割安な電力を使える。うまくすれば両者が得をするWin−Winの関係を築くことができるだろう。
電力需要の大きな部分をソーラー発電に頼ることを不安視する人もいるが、エネルギーを蓄える仕組みはさまざまあり、技術開発が猛スピードで進められている。問題はどの国や地域が真っ先にそれを完成させ、世界の主導権を握るか。開発は日本国内でも国外でもいい。日本はここで手をこまねき、エコビジネスのチャンスを逃すようなことがあってはならない。
【松田雅央,Business Media 誠】
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